長崎の五島列島には、素晴らしい天主堂(教会)がたくさんあるのを、ご存知ですか?
初めに五島列島を訪れたのは2005年、友人宅で見た「天主堂 光の建築」という写真集がきっかけでした。その本は、長崎県の、明治〜昭和初期に建てられた天主堂(教会)のうち、34軒を選び出し、その歴史と周りの人たちを取り上げていました。
キリスト教の禁教令が解けた明治時代、信者たちは、それまで耐えた年月を取り戻すかのように、祈りの場である天主堂の建築を行いました。多くの天主堂が山奥、急斜面など、人の行きにくいところにあるのは、信者たちの住んでいたのが、そんな土地だったから。迫害に耐え、密かに信仰を守るには、人の目に触れないところに暮らさざるを得なかったのです。
そのためか、現在は過疎化が進み、中には無人になってしまった島にポツンと建っている天主堂もあるらしい。
質素な集落にひっそりと佇む美しい建物、その姿と苦難の歴史にすっかり魅入られた私は、とにかく一度、本物をこの目で見たいと、友人と五島行きを決心しました。(その2に続く)
写真は、頭ヶ島天主堂。日本に二つしかないという石造りの外観。その重厚さとは裏腹に、中は花のモチーフを多用した、愛らしい装飾が多数あります。置きっぱなしの聖書とロザリオが、日常の信仰の場として、信者が通う姿を想像させます。